講義の説明

情報更新日:2017/11/30

世界に挑む東京Organic農法

太田太
東京都青梅市 / Ome Farm
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農業と共にある生活、地産地消の豊かな食文化。それをコンクリートに覆われた東京という都市に求めるのは難しいと考えている人も多いかもしれません。しかし東京にも多摩川上流の綺麗な水と、緑豊かな山や丘陵に囲まれた「西多摩」と呼ばれる地域があります。そして、その西多摩エリアにある青梅市で、世界に通用するような農業と食文化を創り出すことにチャレンジしている農園があります。

農園スタッフの平均年齢は30代、代表の太田さんはファッション業界出身、メッセンジャーや編集者など農業以外の職種を経て新規就農した6人の若者によって2017年12月に設立されたばかりの「Ome Farm(青梅ファーム)」です。Ome Farmでは、欧米のレストランでは当然のように使われているものの日本では馴染みの薄い西洋野菜や、東京で伝統的に栽培されてきた江戸東京野菜など、年間40~50種類ほどの野菜が無農薬で育てられています。そして、都心のレストランに配送業者を通じて届けるだけではなく、野菜を収穫したその日に農園スタッフの手で直接お届けする事もしています。単に新鮮な野菜をお客様に食べてもらうだけではなく、シェフが実際に足を運ぼうと思えばすぐに行ける距離に畑があって、実際に自分の目で作物の様子を観ることができること。農園から食卓までの近さ。これは東京都内で農業をやっているからこそ実現できることなのです。

 

代表の太田さんは「野菜を育てて売って、農家だけが儲かればいいわけじゃない」と語ります。彼らが目指しているのはただ野菜を育てるだけではなく、無農薬の農業を通じて地域の土壌を守り、水を守り、環境を守ること。子供に食べさせたいと思えるような旬の健康的な野菜を、東京の多くの人に日常生活の延長で食べてもらうこと。

そして、青梅市に広がる耕作放棄地をコンクリートに変えてしまうのではなく、農業を通じて人のにぎわいを生み出し、美しい田園風景を未来に残すこと。実際に青梅市では、太田さんたちが農業を始めてから3年の間で、無農薬栽培をやりたいという新規就農者が集まりだしています。「慣行農法(農薬と化学肥料を使う一般的な農法)」の地元農家からなかなか理解されなかった無農薬栽培が徐々に認められてきただけでなく、高齢化が進む青梅市の農業現場で最年少のOme Farmが希望の星になりつつあるのです。

 

この講義では、Ome Farmが私たちに届けてくれる野菜のように、その季節の畑の様子やスタッフの動き、彼らが発した言葉を、余計な味付けをせずにそのまま読者に届けます。そしてOme Farmの日々の歩みを記録しながら、いま東京で起こりつつある新しい農的ライフスタイルの最前線を伝えるとともに、この講義の中から実際にOme Farmや西多摩エリアに足を運び、そのムーブメントの一端を担う人が生まれることを目指します。

太田太
東京都青梅市/Ome Farm

Ome Farm代表。自宅のある池袋と農園のある青梅の都内二拠点生活を送る。幼少時よりファッションの仕事とその環境に慣れ親しみ、21歳の時に渡米、ニューヨークへ。6年間滞在している最中、現地の食文化と都市農業の在り方、都心と郊外の両方での生活を自然に楽しむライフスタイルに触れ衝撃を受ける。 帰国後はファッション業界で国内外アパレルブランドの広報や営業等を通して若いデザイナーを海外市場に売り込んだり海外のブランド等を日本に紹介したり、展示会の運営等を通し、クリエイター達とともに仕事を行う。 ファッション業界でキャリアを積みながらも、東京は元より近代日本の食文化や食の意識に対する世界レベルでの遅れに疑問が募っていたところ、企業による新たな農業プロジェクト立ち上げのオファーを受け、ファッション業界から農業界に転身。日本各地の有機農家を巡ったり、農業学校等に通い農業の現場を学びながら、2014年に東京都青梅市で「T.Y.FARM」をスタート。T.Y.FARMの親会社の農業撤退決定に伴い2017年12月、新たに「Ome Farm (青梅ファーム)」を立ち上げ、東京で世界レベルの農業と、“農業のある都市生活”の構築に挑む。