講義の説明

情報更新日:2018/09/30

桜の山農場の暮らし循環学

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広島県の三原市の山の中に、たくさんの動物と豊かに暮らす農場があります。国道から坂道を登りきって農場に着くと、守り神のように立派にそびえ立つ桜の木が見えてきます。同時にたくさんの犬たちが出迎えてくれました。

ここは、知る人ぞ知る自給自足と薪の暮らしをベースにした桜の山農場。農場には、本教授・坂本耕太郎さんと梨恵子さん家族が暮らしていますが、なんと6人のお子さんとともに、若い研修生が1人、犬が5匹、猫が1匹、鶏が5羽、さらに養豚の豚たちが50〜60頭もいるです。

この農場がはじまったのは、いまから12年前のこと。結婚と同時に山暮らしをはじめたきっかけは、有機農家の長男として生まれたことや、全寮制で有機農業を学べる全国唯一の農業高校(愛農高校)に通っていた経験以外に、”あるフレーズ”に出会ったことからはじまった と、坂本教授は語ります。それは、

”平和について考えると、エネルギーにたどり着く”

という言葉。日本の豊かな暮らしの背景には、第三国からの搾取の上に成り立っているという世界の不条理に対して、自分たちが取り組むべきアクションとしてはじめたのがこの農場でした。

「食べるものと暮らしのエネルギーを自給するライフスタイルを確立する」これこそが自分たちにできる平和活動だと確信したのです。

そんな桜の山農場では、多品目に渡るナチュラルな農産物と加工品を生産しています。その中でもメインになっているのが、「地域循環による豚飼い」です。

一般的に使用されている抗生物質やワクチン・ホルモン剤は一切使わず、なんと餌も自家製。その原材料は、地域の食品会社などから出る未利用資源(まだ食べれる食品)を無料で回収して、独自に配合したあとに発酵させるという画期的な仕組みを確立しています。

餌の収集と日常の移動はガソリン車ではなく、2タンク式WVO(ウェスト・ベジタブル・オイル)システムを自作で組み立てた天ぷら油で走る自動車。移動手段まで環境とお財布に配慮しています。

自然養豚の他には、有機無農薬のお米づくりや麦、大豆、季節の野菜、麹、味噌、醤油、キムチ、梅干し、梅シロップ、さらには豚骨ラーメンまで生産しているというのですから、その幅の広さに驚かされます。

桜の山農場のコンセプトは、”循環型の暮らし”をつくること。一日の時間の使い方もお金を稼ぐことを第一とせず、家族や地域の人付き合いの中で育まれる縁を大事にしながら持続可能な循環型の暮らしをつくっています

「農を業(仕事)だけにして暮らしと結びついていないのはもったいない。農の魅力を自分自身が一番楽しみながら、家族で取り組めることが学びであり喜びなんです。作ることも、食べることも、加工して新しいものを作ることも。娯楽も、仕事も、趣味も、暮らしの中にぜんぶ詰まっているんです」

桜の山農場には自分たちでつくる喜びが溢れています。日常の中に農業の循環が溶け込んでいるのです。これからしばらく、坂本家族の暮らしと農場の運営に密着していきます。

桜の山農場の暮らし循環学

坂本耕太郎
広島県三原市/桜の山農場 代表

桜の山農場代表。日本で唯一有機農業を学べる三重の愛農高校出身。 「平和について考えると、エネルギーにたどり着く」という言葉に出会い、自分たちの食べるものだけでなく、暮らしのエネルギー自給を実践する農場を2006年から運営。 元ラガーマンのタフな精神と肉体から、地域の未利用資源を天ぷらカーで回収して、それを発酵させた良質の餌で豚を育て、こだわりの豚肉と堆肥を生産。その堆肥を使ってお米、野菜、麦、大豆を育て、生業を立てながら食の自給を確立。農産物を生産するエネルギーの100%を地域から生み出すことで、フードロスとフードマイレージの問題に一石を投じつつ、捨てられているものから新しい価値を作る「経費0円農業」のスタイルを築きあげる。 米、野菜、肉、味噌、醤油、ヒジキにワカメも完全自給、テレビなし、ガスなし、冷蔵庫なし、薪暮らし、井戸水、薪ストーブ、豚小屋・堆肥舎・薪小屋をセルフビルド、車や農機具の燃料は自作天ぷらシステム、作れるものは自分で作っていく豊かな暮らしを邁進中。