講義の説明

情報更新日:2019/03/29

若手農家のゼロから育む恋人参学

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「本当においしい野菜を届けていくために、基礎を怠らない旬の野菜を育てる」

口で言うのは簡単ですが、これを実践している農家さんに出会いました。それは、福山市の山間地域で人参をメインに栽培する「しもみん農場」の経営者、下宮章寛教授です。

標高150mの圃場で育つしもみん農場自慢の野菜「恋人参」。

実際に食べてみるとすぐにわかりますが、香りと甘みがとても強い人参です。どれほどの甘みかというと、人参が苦手な子どもでも生のまま食べられるほど。冬の寒さを乗り越えてきた恋人参は、まるで果物のような糖度の高さになります。

下宮さんは、2016年から夫婦で農場運営を開始。代々の農家の家ではなく、新規就農としてのスタートしました。ものづくりの仕事にたずさわりたいと思っていたことから、大学在学中はおもちゃ会社の長期インターンを経験。社長とマンツーマンの貴重なインターン勤務から、会社や農場経営のノウハウを学生時分に培ってきました。

その後、東京のレストランで出会った野菜のおいしさから「有機農家として独立したい」という思いが強まり、関東の農業研修を途中でやめて独学で営農し、地元広島の休耕地を復活。試行錯誤の結果、作物の中でも栽培が容易な品種ではなく、栽培が難しいとされる有機無農薬人参を選びました。2018年からは、農場に鶏を飼うことで畑の自然循環をめぐらせながら、人参とその他の野菜を生産しています。

「夫婦ともに新規就農だったので、土いじりから種選びまで、すべてゼロからはじめました。でも、これまでの経験から、農業における基礎さえできていれば、ちゃんと美味しい野菜は作れるものだと思っています」

はじめは自給自足暮らしをベースにスタートし、ある程度の栽培の確率と販路の拡大に成功した下宮さん。現在26歳(92年生まれ)の若さながらも、農場は運営4年目にして毎年約1.8倍の売り上げ増を達成。現在は、夫婦の他にパートさんを5人も雇う規模に成長しています。加工品の研究にも熱心で、有機オーガニック人参ドレッシングを独自に開発。福山市のみならず尾道や岡山のオーガニックマーケットにも積極的に出店しています。

性格はひたむきで真っ直ぐ。無理な近道をしない農業の基礎に忠実なやり方で、心からおいしいと感じる野菜を作る姿は、まるで畑に佇む職人のよう。新規就農者としての視点を生かして、農業の常識にとわられない斬新なアイデアを組み合わせた「しもみん農場」に密着していきます。

下宮章寛
広島県福山市/しもみん農場代表

しもみん農場代表。大学在学中におもちゃ会社にインターンシップとして働いた際、人生に大きな転機が訪れる。1年半もの期間をアシスタントとして社長と近い距離で仕事をした経験から、経営の基礎やビジネスの企業精神を学ぶ。 その後、有機農家として独立するため、埼玉での農業研修へ。研修を経た後に地元の広島へ戻り2016年から夫婦で「しもみん農場」をスタート。 おもちゃ会社に勤務していたときの経験やアイデアからを取り入れながら、無農薬・無化学肥料をベースに基礎に忠実な農業を展開。「恋人参」というブランド名の人参をメインに栽培し、独自のレシピの人参ドレッシングも生産。オンラインショップでも商品を販売しつつ、地域のオーガニックマーケットにも出店している。現在5名のパートを雇いながら農場を運営中。