講義の説明

情報更新日:2018/02/09

苅部ブランド野菜学

  • フォローする
  • お気に入り

苅部さんは江戸時代より、代々横浜に根をおろしてきた、歴史ある農家の十三代目。年々専業農家の割合が減っているなか、都心へと通う人の住宅街として多くの人が暮らすこの横浜の中心部で、専業農家として年間なんと約100品目もの野菜出荷・直売しています。

小学校1年生ころの作文で『農家をやりたい』と書いたというほど、夢に着実に歩いてきた彼は、約20年前、大学卒業後自然と家業を継いだそうです。夢だった専業農家としての就農。情熱をもって始めた農業でしたが、その後「産地ブランドの壁」に突き当たります。

「味が落ちても、産地名だけで新鮮な横浜の野菜より高値がつくなんて…」

農家であることを誇りに、お父さんの背中を見て育った苅部さんが感じたショックは、さぞかし大きかったことでしょう。

そこで彼は「自分自身がブランドになって、横浜の野菜、農業を広めていくしかない」と決心。市場を通じての流通ではなく、自分の畑に20年前では珍しかった直売所「フレスコ」をオープンして直売を開始しました。それ以来、彼は自らの「ブランド」について考え続け、そしてそれを確立するために試行錯誤を繰り返しながら誠実に向き合ってきました。

「ブランドの価値を認めるのはお客さんです。一番大事なのは、商品ではなく、作り手なんだと思います。これまで一番努力していなかったのは生産者だと思います。」という厳しい言葉も。

それを自らに課してきたからこそ、実に9年の歳月をかけて自家採種を繰り返し、自分好みの色や形のオリジナル「苅部大根」そして「苅部ねぎ」を開発するまでに至ったのだと思います。

苅部さんの活躍はそれだけではありません。自分と同じように就農し、一生懸命頑張っている神奈川県内のアツい若手農家を集めようというコンセプトのもと、若手農家のグループ「神七(かなセブン)」を結成し、リーダーを努めています。メンバー共同で加工品をプロデュースするなど、積極的なブランドつくりを行っています。

また、横浜市内のシェフや食品メーカーとのネットワーク「濱の料理人」のメンバーとして、地産地消を推進する活動にも参加。自らの畑を貸し出しての市民参加型6次産業プロジェクトを推進するなど、その縦横無尽な活躍ぶりで、横浜の食を支えるまさにエースなのです。

今回苅部さんのの講義では、彼が20年間やってきたその歩みを「ブランディング」という切り口でフォーカスしていきます。おそらく苅部さんがブランディングの視点でお話をされるのはTheCAMPusが初めて。若手農家の信頼を一手に引き受け、背中を見せながら自らの農業道を突き進むエース苅部さんのブランド哲学をぜひ楽しみにしていてください。

苅部博之
神奈川県横浜市/苅部農園代表

「苅部農園」代表。横浜市の中心部に近い保土ケ谷区で江戸時代から続く農家の十三代目。父の野菜は、横浜の市場で常に「値頭(ねがしら セリで一番高い野菜)」だったが、有名産地のブランドには勝てないという現状に「自分のブランドをつくるしかない」と一念発起。9年間の歳月をかけ、味も色もオリジナル、自分の名を冠した「苅部大根」「苅部ネギ」という2つの野菜の開発という快挙を達成。さらに神奈川県内の若手農家をまとめ「神七(神奈川七人の百姓 通称かなセブン)」をリーダーとして結成、加工食品プロデュースまで手がけるエース農家。