講義の説明

情報更新日:2018/07/31

ありのままを育む在来種柑橘学【瀬戸内レモン】

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本州と九州・四国にかこまれている瀬戸内海。大小700もの島がある日本で一番大きな内海です。ここは、国内でも雨が少ないエリアで気候も温暖であることから、みかんやレモンをはじめ、昔から柑橘類の栽培がとても盛んな地域です。

この瀬戸内に浮かぶ広島県呉市にある下蒲刈島。この島に今回の教授が営む柑橘農場があります。本州から安芸灘大橋を渡って約10分。蔵のような造りの白い風格のある建物が見えてきました。ここが明治23年から続いている老舗の柑橘農場・中吉屋です。

実は、数ある柑橘類の中でも農薬を使わずに作るのがむずかしいと言われている代表の果物がレモン。そのため、海外からの輸入レモンには、防カビなどの効果があるポストハーベスト農薬が多量にかけられていることから、発ガン性が心配されています。

しかし、中吉屋で育てているレモンは、安心・安全の無農薬。

すべて自然のままに育んだ柑橘果物の各種、八朔・あまなつ・みかん・レモン等、季節に応じた自慢の柑橘物を育てています。この農場で一番古い木は、なんと創業年数とほぼ同じ100歳を超える長寿のレモンの木。それがいまだ元気に立っています。

中吉屋では、創業以来の理念として ”ありのままに、自然のままに” を一番のコンセプトにしています。さらに「在来種」「無農薬・無肥料」「自然の力」という3つの要素を取り入れた厳選の柑橘果物を栽培しているのです。

その特有の生産方法もあってか中吉屋の柑橘物は果実の「大きさ」からちがいます。エグみがまったくない外皮は、とても香りが強く、果肉はずしりと重量感があってとてもジューシー。市販のレモンと比べると、その「香り」と「甘み」と「味」がまるで別物だとすぐにわかります。

中吉屋のこだわりは、その特有の栽培方法だけではありません。一般農家の販売流通ではなく、初代から培ってきた独自の販売ルートによって、既存の柑橘農家とは別の販売先を確保しているのです。

さらに北村教授の代になってからは、リーフレットやホームページを作成して、在来種・無農薬・無肥料・自然の力を優れたデザインで伝えるオンライン販売の部門を立ち上げました。

広島を離れて東京でデザインを学び、テレビ番組制作会社勤務を経て、祖父と親の代を継いで、4代目として中吉屋の代表を務めている北村教授。

一度故郷を離れた経験から、この島の本当の豊かさに気がつけたことが大きな気づきとなり、現在では全国各地への販売や、来年以降は海外との取引も控えているとのこと。

海と山にかこまれた下蒲刈島からつくられる芳醇な瀬戸内柑橘。そのおいしさの秘訣について、これから数回に渡る講義でお届けしていきます。

*今回は、他のナビゲーターと共に『瀬戸内こだわりのレモン農家さん特集』を行います。それぞれ特色のちがうレモン農家さんをあわせて紹介していくので、どうぞお楽しみに!

ありのままを育む在来種柑橘学【瀬戸内レモン】

北村昂陽
広島県呉市下蒲刈島/中吉屋 代表

柑橘農場 中吉屋株式会社の代表。1983年広島県呉市に生まれ。大学卒業後、テレビ番組制作会社勤務を経て、2013年に実家の農家を継ぎ、柑橘農場「中吉屋」として農園活動を開始。同年、パリ国際見本市第109回フォワール・ド・パリに柑橘物を出展。 東京生活の激務の中、何気ない会話から家業である農業に興味を持つ。瀬戸内海の自然の風景、食卓に並んだ生野菜の青臭い味、ミカン狩りを手伝ったときの土を触った感触、それらはすべて当たり前のものではなかったと思い知り、その歴史を調べていくうちにそれがどれだけすばらしくかけがえのないものなのかを知り、4代目として家業を継ぐ。 創業以来大事に貫いてきた「在来種」「無肥料」「無農薬」。90歳までつくり続けた祖父のそのこだわりを知ったとき、その想いを受け継いでそれをもっと広めたいという使命感が生まれる。デザインにもこだわった中吉屋のHPを制作し、「在来種」「無肥料」「無農薬」でしか作れない厳選された柑橘物を作り続けている。