講義の説明

情報更新日:2018/11/30

里山で育む 横穴式はっとり生姜学

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「はっとり生姜」の産地は、広島県福山市駅家町服部という山間の地域。
生姜の一大産地といえば、四国の高知が有名ですが、ここ広島県の駅屋町服部雨木(あめぎ)地区では、50年以上生姜を作り続けてきた歴史があります。

教授の梅田祐伸さんは、この土地でも残り少なくなった生姜専門の農家さんです。地域の生産者たちで生姜の加工をする「駅家生姜生産部会」の会長も務めています。

子どもの頃に父親の生姜作りを少し手伝っていた程度の知識で思い切って脱サラ。そして、新規就農をしました。独自に土や肥料などの研究・模索を続けて、生姜専門の農家としてすでに34年目になります。

駅家生姜生産部会がつくる「はっとり生姜」は、繊維質が少なく、適度な水分を含み、辛味がありつつもとてもまろやかで、爽やかな味わい。その人気ぶりは市場で出回るとすぐに売り切れるほどです。

そんな「はっとり生姜」が育つ農園の裏手には、福山市でもっとも高い蛇園山(じゃえんざん)という山がそびえ、農地の恵みを育んでいます。昼と夜の寒暖差が大きいと作物がよく実ると言われていますが、標高100mほどの位置にある梅田さんの生姜畑は、寒暖差以外に生姜がおいしくなる秘密があります。

1つ目は、ミネラルが豊富であること。この地域はそのむかし鉱山だったため、土の中に含まれる豊富なミネラルが生姜の成長にとても良い成分を育んでいるのです。

もう1つは、現在では希少な生姜を熟成保存させる横穴を持っていること。10m以上の横穴を山の斜面に掘り、種生姜を保存するために1立米あたり10kgの有効菌をあたえた場所で保存させているのです。これが、「はっとり生姜」独自のまろやかさとマイルドな辛味をつくり出しています。

実は、有機の生姜を大量に育てるのはとても難しく、外敵や病気にも弱いためさまざまなケアが必要です。しかし、梅田さんは34年に渡って農法の研究を続けてきた結果、現在はほぼ農薬を使わない好気性菌を使った微生物農法にたどり着きました。

鉱山があったこの「土地」と、菌を使った「微生物農法」、さらに横穴での生姜の「保存」。これこそが、「はっとり生姜」だけがもつ芳醇なおいしさです。

「作る作物が生姜じゃなかったら、私は農家になっていませんでした。種を植えたら土の上に芽が出て、それがだんだんと葉っぱになって、実ができたらそれがだんだんと色を変えてクリーム色やピンク色、そして緑色に色づいてくる。その成長の変化がとても愛らしいんです」

と、梅田さん。物静かに語るその姿からこだわりの生姜を育てる秘訣について、講義とともに少しづつお届けしていきます。

梅田祐神
広島県福山市/はっとり生姜 代表

広島県福山市駅家町雨木地区の生姜農家。食協株式会社福山営業所の営業職から31歳の時に脱サラして一から生姜農家に。現在は自身の父も在籍していた駅家生姜生産部会の会長に。 父親が趣味で作っていた生姜の手伝いをきっかけに、肥料や育成方法も自分で研究・模索しながら独自の生姜を生産。新規就農の形で生姜農家になって早30年。福山ブランド(福山市で生み出された創造性あふれる産品・サービス・取組などのこと)にも認定されたはっとり生姜プロジェクトの一員に。現在は数えるほどになった洞窟式の横穴で生姜を新鮮保存している。