講義の説明

情報更新日:2018/09/30

小さい畑で大きく稼ぐ農業学

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2010年に有限会社コスモファームをオープンした中村敏樹教授は、面積の小さな圃場を巧みに駆使しながら、創業8年足らずで売上金額 数千万円を叩き出したやり手農家の経営者。その成功の秘訣は年間15品目250種類にも及ぶ「多品目少量栽培」にありました。

長野県上田市で農家の次男として生まれた中村教授。子どもの頃から農業が身近にあり、大学も仕事も農業関連一筋。のちに母校の研究室へ戻り、フルーツトマトの栽培研究を手掛けるなど、豊富な知識と栽培技術をもち、農家への生産指導も行ってきました。また、コンサルタント業務を請け負うなかで中国での農産物栽培、県外3カ所での農園運営に携わってきた経験もあります。

「いろいろな経験をしてきたけれど、振り返れば私も数々の失敗をしてきました」

その失敗から身をもって学んだことはのちに大きな財産となり、出会った人々はかけがえのない仲間となって、今に生かされていると語る中村教授。栽培から流通、六次産業化での商品開発、そして食べ方の提案にいたるまで、トータルにプロデュースできるのは中村教授の強みです。

2010年に自身の農園を立ち上げたのは、自宅のある香川県高松市でした。四国北東部に位置し、瀬戸内海の温暖な気候に加え、比較的災害も少ない地域。農地は近隣の小さな圃場を借りてのスタートでした。実は香川県は全国47都道府県のなかで最も面積が狭い県。コスモファームがスタートした頃は約80aの小さな圃場9つが住宅地に点在し、なかには扇型の圃場や車が入れない場所も。

香川県で農業を始めると決めたときから、中村教授の構想のなかには「多品目少量栽培」がありました。小さな土地には小さな土地にあったやり方があります。きちんと栽培計画を立てて無駄を省き、廃棄する作物を出さないこと。旬を追いかけて季節に見合った作物を栽培することで経費を節減すること。収入を確保するために販路を開拓すること。ほかにもいくつかの極意がありますが、とりわけ、最初から無理をして規模を大きくしようと考えないことも大切です。コスモファームでは補助金などは利用せず、無借金経営を貫いています。そこにも中村流の経営哲学があります。

多品目少量栽培を実践し、契約レストランの登録数約750店舗、野菜のピクルスなどの加工品は年間約2万本を製造。高級食材セレクトショップや大手デパートとの契約を次々に成立させ、売上金額 数千万円を生み出す中村教授の講義には、「小さな農業から大きな成功を収めるためのヒント」が随所に散りばめられています。

農業に夢を見出し、農業の世界に飛び込んだ新規就農者にとって、乗り越えなければならないハードルは思いのほか高く、志半ばで行き詰まってしまうことも少なくありません。ご自身の将来に役立つアイデアを、ぜひ講義の中から見つけてみてください。

中村敏樹
香川県高松市/コスモファーム 会長

1956年、長野県上田市で専業農家の次男として生まれる。幼少期から家業を手伝い、農作業に親しんできたことから、進学の際にも迷わず農業を志し、香川大学農学部園芸学科に入学。卒業後は農産物流通関連企業を経て農協連絡会(現JA香川)へ。青果販売農業協同組合で花卉の栽培指導を担った。退職後、農産物流通会社を立ち上げ独立。同時に、母校の香川大学に戻り、フルーツトマトの栽培研究に取り組む。農家への生産指導や農業コンサルティング事業などにも力を入れていたが、生産から流通まで幅広い経験と知識による指導が評判を呼び、各方面から講義・講師依頼が殺到。年間220回以上もの講演を行うこともあった。2010年、満を持して自宅のある香川県高松市に自身の農園「コスモファーム」をオープン。栽培面積の小さな圃場9箇所を借り受け、狭い土地を生かした「多品目少量栽培」を主軸に、6次産業化にも取り組み成功を収めている。現在は、高松と事務所のある横浜を行き来しながら、講演活動で全国を飛び回る日々を送っている。