講義の説明

情報更新日:2017/11/29

パーマネント日本酒学

仁井田穏彦
福島県郡山市 / 仁井田本家
  • そだててつくる
  • 醸造学類
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「田んぼを守る」とは、どういうことなのでしょうか。一般的には、「田んぼの多面的機能を保つために、とにかくお米をつくること」とされています。たしかに、それも一理あるでしょう。田んぼがダムの役目を果たして洪水を防いだり、地下水を生み出したり、気温の上昇を抑えたり、共同作業やお祭りなど文化の継承の役目を果たしたりするなど、田んぼの多面的機能はとても多彩です。

しかし、農薬をたくさんまいて、化学肥料をたくさん投入することは、長い目で見て「田んぼを守ること」に繋がるのだろうか。そうした疑問を抱いたのが、“自然酒”の先駆けとも言える酒蔵「仁井田本家」です。

仁井田さんは持続可能な田んぼを、原子力発電にたとえて説明します。
「収穫量を上げることばかり考えていては、将来は田んぼがだめになってしまうかもしれません。原子力発電も二酸化炭素の排出量が少ないといったメリットが言われていますが、高レベル放射性廃棄物の最終処分という問題は現状では解決されていません。『今さえよければいい』『負の遺産が子孫に丸投げ』ということがすごく嫌なのです。子どもたちには、良いものだけを残していきたいと思っています」

一方で、日本では日本酒の売上は減り、お米の消費量が減り続けています。お酒を飲まない人も増えています。そこで、生酛造りや、白麹仕込み、蔵付き酵母仕込みなど、日本酒のイメージを変えるおいしいお酒造りを行っているほか、お米を使った発酵スイーツの開発・生産・販売にも乗り出しています。

仁井田本家は「田んぼを守る」という夢の実現に向けて、まだまだ計画が盛りだくさん。どうしたら日本の田んぼを真に守ることができるのか? 摸索しながらも、ぐんぐん突き進んでいます。神様にもお供えされているように、お酒とお米は日本の文化の要です。仁井田本家の取り組みに学びながら、自身も実践しながら、自分ごととして一緒に考えていきましょう。

パーマネント日本酒学

仁井田穏彦
福島県郡山市/仁井田本家

1711年創業の仁井田本家18代目蔵元・杜氏。東京農業大学醸造科学科卒業後、都内の酒問屋で営業を学び、1994年に28歳の若さで社長に就任。1967年から全量自然米のお酒を販売している“自然酒”の先駆者となった酒蔵で、現在はすべてのお酒が農薬不使用の自然米と自然派酒母を使った純米酒。農業生産法人も立ち上げ、自然米の生産・販路拡大によって「日本の田んぼを守る酒蔵」として日本文化を次世代に繋ぐことを目指す。お米の新たな消費として、お米を使った発酵スイーツの開発・生産も。定期的にイベントを開催する“人が集まる酒蔵”だ。