講義の説明

情報更新日:2018/07/11

四万十から発信!防災植物学

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東京で生まれ育ったショーダンサーが、高知県四万十川流域の豊かな自然や人々のあたたかさに心打たれ、四万十市にやってきたのは今から5年前のこと。自分自身で仕事や住まいを探し、自立しながら活動を続けてきた斉藤香織教授。5年の間にはさまざまな紆余曲折があり、「何度東京へ帰ろうと思ったかわからない」と笑顔で振り返ります。都会からの移住者が、縁もゆかりもない地域に溶け込むのは並大抵ではありませんでしたが、数々の出会いによって、四万十での暮らしが大きく変わりはじめます。

斉藤教授の肩書のひとつに、防災植物協会事務局長という役職があります。植物生態学研究者の澤良木庄一先生が提唱する「防災植物」に感銘を受け、協会立ち上げに奔走したのち、現在は協会運営に携わっています。「防災植物」とは、住宅周辺の雑草や人里近くでいつも見かける植物のなかで、安全で簡単に食べられる野草のこと。私たちの身の回りには、食べられる野草がたくさんありますが、都市部では目にする機会が少なくなり、植物の存在が身近なものではなくなりつつあります。

日本は地震や台風など、自然災害に見舞われる機会が決して少なくありません。いざというときに、身近にある植物が食料になることを知っていれば、家族や大切な人々を守る一助になるのではないか。そんな思いを込めて、毒性がなく安全・簡単に調理できるものを「防災植物」と位置づけ、さまざまな活動を行っているのが防災植物協会です。親子で参加できるセミナーの開催をはじめ、2017年8月には、ボウサイショクブツカフェの営業を開始。季節に応じて植物のおいしい食べ方を知ってもらうことで、防災植物への興味と関心が高まり、人気を集めています。また、四万十の農産物を活用した六次産業化商品の開発など、地域密着型の活動も展開中。

地域には魅力的な自然や農産物がたくさんあるのに、地元の人はそれに気付かないことが多々あります。当たり前すぎて埋もれてしまっている宝物を見つけられるのは、移住者目線だからこそ。高知を愛し、東京から四万十へやってきた斉藤教授は、地域の活性化に貢献するいくつかのプロジェクトを始動させています。防災植物協会での食育活動のみならず、2018年4月には株式会社しまんと流域野菜を立ち上げ、代表取締役社長に就任。四万十川流域で有機農業に取り組む農家と連携して、農業で地域を元気にする活動を開始しました。この講義では、防災植物とは何か、それをどう生かし、地域とともにどのように生きていくのか…移住者だからこそ実現可能な斉藤教授のチャレンジを紐解いていきます。

斉藤香織
高知県四万十市/防災植物協会事務局長

東京都出身。大学卒業後、金融機関での勤務を経てショーダンサーとして活動を始める。ダンサー時代は世界各国をまわり公演を行った。10年間ダンサーとして活動していくなかで、食と身体とは深いつながりがあることを実感し、食育マイスター、野菜ソムリエなどの資格を取得。その頃、旅行で初めて訪れた高知県の豊かな気候風土に魅了され、5年前に四万十市へ移住。食の資格を生かし、食育をはじめ地元の産品を使った商品やメニュー開発などに携わってきた。2016年には身近にある食べられる野草を「ボウサイショクブツ」と位置づけ、防災植物協会の立ち上げに寄与。事務局長として協会運営を担っている。2018年4月には、四万十川流域で有機農業に取り組む生産者をネットワーク化し、安心安全な野菜の栽培と販売を行う株式会社しまんと流域野菜を設立。代表取締役社長として采配を振るうかたわら、自身の「かおり農園」で野菜の栽培も行っている。